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2016,03,18
コラム

若手社員育成における「厳しさ」について

若手人材育成における「厳しさ」には、2つのパターンがあると感じています。


Aさん、Bさん、2人の若手社員についてみていきましょう。


Aさんの上司は厳しい人です。先日、仕事でミスをしてしまい、
厳しく叱られました。「ちゃんと考えて仕事をしているのか!!」
Aさんは、「今度は失敗しないように仕事をしよう」と
日々、ビクビクしながら仕事をしています。


Bさんの上司も厳しい人です。先日、仕事でミスをしてしまいました。
「実は、あれはお客様からの連絡が・・・」と言い訳をしてしまったところ、
言い訳をしたことに対して、厳しく叱責をされました。
その後、Bさんは、自分がなぜミスをしてしまったのか、
考え続ける日々を過ごしています。


Aさんの上司もBさんの上司も厳しい人ですが、実は、似て非なる2人だと思います。


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スタンフォード大学教授のキャロル・S・ドウェック氏によると、
人のマインドセットには、2つの種類があると言われています。
硬直マインドセット(Fixed mindset)と、しなやかマインドセット
(Growth mindset)です。因みに、同氏の著書「MINDSET」は、
ビルゲイツ氏が2015年のベスト書に選定した本です。


硬直マインドセットとは、自分の能力は固定的で変わらないと
信じるマインドセットです。このマインドセットの人は、
自分自身を出来る人だと周囲に証明することが重要であり、
出来ない人だと思われないために、失敗が伴う挑戦を避け、
結果として、経験から学べない状態に陥ります。


自分を良く見せようとする意識や自己防衛意識が高い人と言ってもいいでしょう。
プライドが成長の邪魔をしていると感じられる人もこのタイプです。


しなやかマインドセットとは、自分の能力は努力次第で伸ばす
事ができると信じるマインドセットです。
従って、他人からどう見られているか、といったことよりも、
自分の成長や他者への貢献を優先します。
自分がどう見られるかといった評価は関係ありませんから、
失敗が伴う可能性があっても、挑戦したほうが成長に繋がると信じ、
恐れずに挑戦します。そして、例え失敗したとしても、失敗に向き合って
学ぼうとします。


素直に学び、謙虚に人に向き合い、無心で事に全力になれる人が
このタイプです。


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先のAさんとBさんの上司に戻って当てはめてみると、
実は、Aさんの上司の厳しさは、Aさんに対して、
「上司から怒られないように、失敗しないように」という
部下の硬直マインドを増長させることに繋がる厳しさであると言えます。
今後、Aさんは挑戦をしなくなり、成長は鈍化するでしょう。


一方で、Bさんの上司は、ミスをしたことに対して、厳しく
接しているのではありません。Bさんの上司は、ミスに対して、
「どうしてそうなったんだ?」と問いかけ、Bさんに内省を促します。
その際、Bさんがミスをした自分と向き合わずに逃げることに対して、
厳しく接しているのです。
Bさんの上司は、硬直マインドに対して厳しさを発揮しており、
硬直マインドをしなやかマインドに変えるためのアプローチをしていると
言えるでしょう。結果として、言い訳などの自己防衛ではなく、
謙虚に学ぶスタンスや、自分自身と向き合うスタンスが増長されています。
Bさんは、これからどんどん成長していくでしょう。


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最近、お客様から次のような話を聞きました。


その会社では、飛び込み営業なども行われるそうですが、入社して数カ月後、
現場に出ると、新人は成果が出ない自分に打ちのめされるそうです。


「先輩が出来ているのに自分は出来ない」
「こんなはずじゃなかった」
「出来ない自分が受け入れられない」


といった具合です。
結果、「この会社は、自分に向いていないのではないか」という思考になり、
退職者も出てしまう事があるとのことでした。


もう少し詳しく聞いてみると、これまでの学生生活において、
常に"成績"と言う物差しで評価され、殆ど挫折を経験していない人にとっては、
「出来ない自分」が受け入れられず、
周囲から、どのように見られているかが気になり、
どんどん自己否定のループに入ってしまうのだそうです。


「今は、先輩と同じことが出来ないかもしれないが、
努力をし続けていけば、いずれ出来るようになるよね」と声をかけると、
「そっか!」と気づきを得るとのことです。


そんなこと当たり前ではないかと感じた人も多いかと思いますが、
これが現実なのです。


まさに、これは、硬直マインドの典型的なパターンで、
今の経験が自分を成長させる経験と捉えず、試験を受けているような感覚になり、
もう自分は駄目だと落ち込んでしまうのです。


しなやかマインドなら、「最初から出来なくても当然。自分は成長過程で、
これから、どんどん成長していくのだから、今の経験は貴重な経験だ」と、
前向きに捉えられるのです。


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若手社員育成における「厳しさ」が今回のテーマですが、
私たちは、若手社員を、しなやかマインドにするために、
厳しさを発揮すべきだと考えます。


しなやかマインドにする厳しさを発揮するポイントは、
"硬直マインドによる行動を逃がさない"と言う事だと思います。


言い訳を逃さない。素直に受け入れないことを逃さない。
自分と向き合わないことを逃がさない。挑戦しないことを逃さない。
諦めマインドを逃さない。


失敗を恐れて行動しないのではなく、失敗を恐れずに挑戦する行動は、
リーダーシップ開発に繋がります。しなやかマインドであるか
硬直マインドであるかは、その後の成長に大きな違いをもたらします。



上司が若手社員の硬直マインドをしなやかマインドにする厳しさ発揮する
ことによってリーダーシップを発揮出来る社員に増えることを
願っています。


吉田 実




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