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2016,05,27
対談

組織開発とはプロセスの場をうまくリードすること

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吉田: 先生はいろんな研究に取り組んでおられると思うのですが、
最近、関心が高いテーマは何ですか?


金井: 私は非常にはっきりしていて。なおかつ永遠の恋人と思うほどの大事なテーマなんだけど。
リーダーシップ育成と相性のいいテーマである、組織開発をきちんとできる人をこの国に増やしたいんだよね。

例えば、打ち合わせを行う時に中身で貢献するだけではなく、スムーズに、あるいは議論が白熱しても、喧嘩になるギリギリのところで良い対決が起こるような、プロセスをうまくリードできる人を増やしたい。それが、組織開発だと思う。

うまくリーダーシップを発揮している人の中には、組織開発の達人が多い。
GEやイーライリリーみたいにリーダーシップ育成を一生懸命やっている会社は、 組織開発も上手い人が結構いる。


吉田: 組織開発がリーダーシップ育成と相性のいいテーマだということですが、
一見すると相反していると捉える方もいるかと思います。
組織開発は組織の問題、リーダーシップ開発は個人の問題であると。
ここら辺はどう繋がってくるのでしょうか?


金井: 組織開発というのは、打ち合わせの場でうまくプロセスのファシリテートをできる人がいて、 その人がいる打ち合わせだと自分の意見も反映される。
結果、決定事項に対して自ら「実現したい」と思えるファシリテートをしてくれる。

ただ単にガス抜きじゃなくて、みんなで決めた、という気持ちになることが大事。一人で考えるよりこのメンツの意見がうまく取り入られて、より良い結論が出て、しかも納得感が高い。


吉田: なるほど。組織の大事なものをみんなで決める。
そのことによって納得感と一体感が組織に芽生えるということでしょうか。


金井: その「みんなで」ってとこがミソで、1つの物事を決めるのに、例えば、工場の声も、 営業の声も、研究所の声も、金庫番の声もみな反映されている感じが理想的。

だから、たくさん参加しているけど結局、研究所の人たちばかりだと意味がない。研究所だけで決めると、工場の人にとっては作りにくい設計になっていたりするので。


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吉田: みんなで決めるためには、何が重要になってくるのでしょうか?


金井: 本当は一人ひとり違っているからこそ、より良い対話ができるという前提が大事だと思う。
ぼくらはいつも、学校教育も含め、答えを探すとか、コンテンツ中心で進めてきた。

だけど、理解するプロセスや、決定までのプロセスが重要で、例えば、営業にいたら気がつかない発想を工場の人がもっていたり、研究開発の人が、どういう思いで製品を開発したのかを理解したほうが、売りやすいし、作る時にも張り合いが生まれるよね。


吉田: なるほど。つまり、打ち合わせの場でも自分の考えや意志をしっかりと持ち、伝えることができる人を増やしていくことが重要で、それがリーダーシップ開発に繋がっていく。

また、場をうまくファシリテートし質の高い対話を生み出すのが組織開発であるから、 組織開発がリーダーシップ育成と相性のいいテーマであるということですね。


金井: 「参加的経営をやっている」と一口に言っても、そもそも意見や意志がない人たちで集まっても良い場は生まれないし、一方、意志ある人たちが集まっても、それをうまくファシリテートし良いクオリティの決定ができないといけないよね。


吉田: 確かにそうですよね。
リーダーシップ育成に関してですが、世間では「最近の新人は意見がない」とか 「若手が受け身である」という声が多いように感じます。

昔と最近の学生とを比べてみて先生はどのような印象をお持ちですか?


金井: よく聞かれる質問ですが、以前に比べて受け身の人が増えたとか、僕は悲観的になったことはないですね。特にゼミ生は観察しやすく、例年よりもおとなしい感じだったら、4年生が「今度の新3年生はちょっとおとなしいな」とコメントすることはあるけど、それでも滅多にないですね。

表現は硬いけど、それは"自己成就的予言"になると思う。
つまり、自分で「こうなるのではないか」と思って行動していると、実際にその予言が 現実のものとして成就してしまうということじゃないかな。

例えば、昔の人達に比べて今の若い人達は受け身だという風に思い込んでいるから、その思い込みを前提にした行動をとる。だから、上司は「指示しなきゃ」。

部下も最初は自分でイニシアティブをとってもいいって思っていたのが、「指示されるんだな。指示した通りにやればいい」という発想になってしまう。
だから、自己成就的な予言になっていったら、非常にもったいないと思う。


吉田: 確かにそうですね。自己成就的な予言にならないためには、色眼鏡をつけずにその「人」の背景や価値観をしっかりと理解することが大事ですよね。

今の時代、ついついネットとかの情報だけで相手のことを分かった気になってしまいますからね。
貴重なお話ありがとうございます。


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対談を終えて・・・

金井先生のお話をお伺いしながら、リーダーシップや組織開発においても、 新入社員においても、一人ひとり違った人がそれぞれの強みや個性を活かしながら価値を発揮することの重要性が増していることを感じました。最近、ダイバーシティが着目されていますが、まさに、ダイバーシティとは、一人ひとりが自分らしいリーダーシップを発揮することではないかと感じます。




コンセプト
4つの問題意識
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記事カテゴリー リーダーシップという概念の正体 リーダーシップの種類 リーダーシップに対する誤解 リーダーシップが発揮された事例