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2017,07,17
対談

【連載①】これからのリーダーシップの育て方 ~島根海士町、離島発の教育イノベーションを追いかけて~

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<旅のはじまり>


とつぜんですが島根県の隠岐諸島にある「海士町」という町をご存知でしょうか?
少子高齢化、過疎化が日本各地で叫ばれる中、人口約2300人の小さなこの島で
いま、「離島の奇跡」とも呼ばれるような変化が起きています。


一例を挙げると、島での年間平均出生数が、この10年で約2倍以上になり、
若い家族の移住増加などもあって、人口の社会増減は反転。
また「ブランド牛 / 隠岐牛」など新たな産業も生まれ、街は活気に溢れており、
地域創生のモデルケースとして、全国各地からの視察が絶えないと言います。


そんな海士町の「奇跡」は、どのようにして生まれたのか、
それに一役買ったのが、廃校寸前だったある高校の「魅力化」にあると聞き、
変革を推進した若きリーダーと、今なお続く現場の挑戦を
リーダーシップレディネスラボが追いかけました。



<若きリーダー、岩本悠の挑戦>


その若きリーダーを訪ね、やって来たのは島根県庁。
まっすぐ、柔らかい表情で、彼は私たちを迎えてくれました。


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彼の名は、岩本悠。10年前に海士町に移住し、
当時廃校寸前だった海士町にある隠岐島前(おきどうぜん)高校で、
「島留学」「地域に飛び出す、課題解決学習」「夢ゼミ」など、
次々に新たな取り組みを打ち出し、紆余曲折を乗り越えながら、
海士町の人づくりを進めてきました。


今は島根県の「教育魅力化特命官」として、これまで培ってきた
「人づくりによる、まちづくり」のモデルを、島根県全域に、
そして全国にも波及させるべく、活動を続けているという。


そんな岩本さんと、「リーダーシップ」を大きなテーマに
これからの若い力の伸ばし方について、対話の時間を頂きました。


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レディネスラボ(山野)
「今日はよろしくお願いします。お会いできるのを楽しみにしていました。」


岩本
「はい。今日はリーダーシップが大きなテーマになるということですが、
 まずリーダーシップという言葉自体を、どのように定義されていますか?」


レディネスラボ(田中)
「一言で言えば、目的に向けて人を動かす力と捉えています。目的を持ち周囲を巻き込みながら物事を推進することは、その人自身がイキイキ働くことにもつながると思います」


岩本
「なるほど、私は学校教育というフィールドにいる中で、リーダーシップという
 ワード自体はあまり使わないのですが、主体性、協働性、社会性、学び続ける姿勢
 この4つが、魅力的な教育を考える上での柱になっていると思います」


レディネスラボ(田中)
「4つのキーワードについて、もう少し詳しく教えていただけますか?」


岩本
「主体性は、自らの意志にもとづいて思考・判断・行動する力、協働性は多様性の中でともに新たな価値を共創する力、社会性は自分を超えた時間軸・空間軸の課題を我が事(ジブンゴト)としてとらえる力、そして学び続ける姿勢は、未来に向かって自分を開き、振り返り、より良い自分に進化していく力、そんな風に捉えています」


レディネスラボ(田中)
「今企業の人材育成に携わる中で、特に若い世代は協働(協調性)や、社会性(社会貢献の意欲)は強いと感じます。一方で育てる側との温度差もあり、なかなか主体性の部分を引き出せておらず、歯がゆさもあります。」


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<リーダーシップは、協働から生まれる?>


岩本
「そうですね、学校教育に携わる中でも主体性の育成はよく言われますし、熱心に取り組む人も多いです。キーワードは自分らしさとか、チャレンジとか。」


岩本
「僕自身も、これ自体はすごくそれも大事だと思うんですが、主体性をダイレクトに引き出そうとするのは、日本の文化的に難しい部分もあると感じています」


レディネスラボ(山野)
「なるほど、岩本さんの中で思い浮かぶシーンはありますか?」


岩本
「例えば、お前は何やりたい? お前のビジョンは? お前の意志はどこにある?と問い続けていくのは、欧米から輸入されたリーダーシップ開発のアプローチのような気がしていて、これが決して悪いわけではないんですが、共同体の中で主語をIではなくWEとして暮らしを営んできた日本人には、フィットしない部分もあると思うんです」


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レディネスラボ(山野)
「確かに、自分のやりたいことを見つけないといけないと、息苦しさを感じる若い世代も多いような気がします。私自身もその1人でした。」


岩本
「だからこそ、社会の中にあるテーマ(環境問題でも、地域の問題でも)に対して、協働していく中で、芽生える主体性を大事にしていく必要があると思います。学校教育のPBL(Project Based Learning)でも、その方が現場にとって受け入れやすい。」


岩本
「そういう意味では、同質性を前提に相手に合わせる、空気を読む、いわゆる"協調"と、多様性の中でともに価値を生み出していく"協働"の違いは、探究していきたいテーマですね」


レディネスラボ(山野)
「協調と、協働の違い。1つテーマが浮かび上がってきましたね。」


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ここに書ききれなかった部分も含め、岩本さんとの2時間半は
あっという間に過ぎてしまい、気づけばお昼に。


次の打ち合わせに走る岩本さんを見送りながら、
我々も島根県庁を後にしました。


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「協働からの主体性、リーダーシップ開発とは」
「協調と協働の違いとは」など新たな宿題をカバンに詰めながら


我々が向かう次の目的地は「隠岐の島・海士町」


現場の教育を肌で感じながら、協働やリーダーシップについて、
さらに深めていきたいと思います。


旅は続く・・・(次回の連載に続きます)




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